
■相続登記が義務化となった背景
登記上の所有者が死亡したため、現在の所有者が誰なのか分からない、いわゆる所有者不明土地が日本全国で増えております。
この状態を放置すると、震災・自然災害からの復旧を始めとする公共事業の実施に、非常に長い時間がかかってしまう、もしくは実行が出来ないという結果を招きかねません。
また空き家の急増も社会問題となっており、これらの問題を改善するには、不動産の現在の所有者を明らかにすることがまず求められます。
こういった背景から、相続登記が義務化されることになりました。
■相続登記を行わなかった場合
被相続人の死亡により、自身が不動産を相続人であることが分かった日から3年以内に相続登記を行う必要があります。
この登記を怠った場合は、10万円以下の過料に課せられます。
■過料を免れるにはどうすればよいか
過料を免れるには、
①3年以内に相続登記を行う
②3年以内に相続人申告登記を行う
③相続人申告登記を行った後、遺産分割協議がまとまった場合は、遺産分割協議がまとまった日から3年以内に相続登記を行う
■相続人申告登記とは
相続人申告登記を行うには、必要な書類全てを揃えて法務局に申請する必要があります。
必要書類は下記のとおりとなります。
①申出書
②申出人が登記記録上の所有者の相続人であることが分かる戸籍の証明書(戸除籍謄本等)
③申出人の住所を証する情報
詳細は下記サイト(法務省:相続人申告登記について)を参照ください。
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00602.html
■最後に
相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合や、相続人が多数にわたることで調査に時間がかかり、3年以内に相続登記を行うことが難しい場合、相続人申告登記を行うことで過料を免れることが出来ますが、相続人申告登記はあくまでも臨時の措置として考える必要があります。
なぜなら、相続人申告登記は正式な権利関係を明らかにしたわけではないため、申出人に権利証(登記識別情報通知)は発行されませんし、このままの状態では売却等を行うことは出来ません。
不動産を売却、または担保に入れる等の処分を行う場合は、正式な相続登記を行う必要があります。
相続登記は時間が経てば経つほど、必要な書類が増え、手続きにかかる時間や費用も増えていくことになるため、早めのお手続きをお勧めしております。
相続登記義務化についてお悩みの方は、ぜひ当事務所の無料相談をご利用下さい。